セオ部(SEO部)

アドテク、キャリアは他の人に任せて、SEOトピックと持論を語ることにします(小学生、業界人向け)。

アドテクノロジーとやらの話

「広告」と聞くと消費者へ一方的に訴える「テレビ」を咄嗟的に連想する世代も多いと思うが、今の広告業界はまさに「民主主義体制」への移行期(後々解説します)。この時代が大きく変わろうとしているこの瞬間に立ち会えたことに感謝するとともに、目が離せない。

ということで、これからはインターネット広告、特に「アドテクノロジー」と呼ばれる消化しづらい領域を、アクエリアス並みに吸収しやすい形でご紹介します。

アドテク?アド街ック??

Advertisement(広告)+Technology(技術)=Ad Tech(広告技術?)

通称、"アドテク”。業界でも生まれたてほやほやの、ホットな言葉。特に、テレビや雑誌、新聞、ラジオと呼ばれる「4マス」広告ではなく、「インターネット広告」の領域におけるとある広告技術のことを指します。

「そんなん知っとるわ!」ということであれば、ぜひこの章は読み飛ばしていただき、「なんのこっちゃ!!!」と思われた方でちょっとでも興味がある方はこのまま読み進めて頂きたいっす。

 

アドテクノロジーの定義:

広告(Ad)技術(Technology)を指す言葉で、広告配信や広告流通のための技術を示す。媒体社と広告主、それぞれにある広告配信のためのアドサーバーの間でどのように広告を流通させ、広告主が出したい場所や人に広告を出せるか、また媒体社が出したい広告を自社のメディアに出せるかという2つの側面で最適化させる技術となる。 

By 株式会社スケールアウト CMO 菅原健一氏

 

要は、

“ネット広告を出して自分たちのことを知ってもらいたいという会社(1)と、ネット広告を自分たちのサイトに掲載してお金を稼ぎたいという会社(2)の両社がそれぞれの達成したい目標を、より効果的に且つ合理的に達成するための技術のこと”

 By アド野テク蔵

であって、ここ数年でできたとっても革新的なスゴい技術、ということです。この話を進めるには、ある程度前提のお話が必要なので、そのあたりのお話もできればと考えていますが、まずは興味関心を高めていただくために、「インターネット広告」がおもしろいワケを。

インターネット広告がおもしろいワケ

【1】WEB業界を支えるインフラである。

WEB業界というのは捉えどころがないように思えますが、基本的に収益モデルは3つ。

  1. 課金モデル(B2C)
  2. 物販モデル(B2C)
  3. 広告モデル(B2B)

 

【1.課金モデル】

課金モデルでは、一般消費者がインターネットを介したサービスを利用する際に料金を課金するモデルのことを言う。例えば、Hulu(動画視聴サービス/月額課金)やクックパッド(料理投稿SNS/月額課金)、ソーシャルゲームで言うとテレビCMでも有名な“Candy Crush Saga”(パズルゲーム/アイテム利用課金)や「誓いのキス」(恋愛ゲーム/利用課金)なんかがある。一部広告を出しているアプリもあるが、広告を非表示にする代わりに課金を求めるなど、課金モデルで売上を上げているゲームは意外と多い。

 

【2.物販モデル】

物販モデルは、その名の通り商品を販売した代金の一部を仲介料として徴収するモデルのことを指す。Amazonや楽天、Grouponなどが代表的な企業。トレンドに沿った良質な商品を消費者のデマンドに合わせていかに取りそろえ、いかに上手く販売までの導線設計をするかがポイントになる。

 

【3.広告収益モデル】

 WEB業界は圧倒的に広告収益モデルの方が多い。課金モデルとは違い、一般消費者から収益を獲得するのではなく、一般企業から出稿依頼を受けた広告費を収益にしている。例えば、Facebook(SNS)やYou Tube(動画視聴サイト)、Yahoo! News(ニュースサイト)等は一般ユーザーが利用する際には利用料が発生しないが、法人からの広告費で運営をしている。そのため、コンテンツの面白さはもとより、広告主がターゲットとする良質なユーザーがいかに集まるかが肝となる。

 

WEB業界を全体を見渡した時、1、2の課金モデルは業態が特殊であるため、少なくとも半分以上の企業は広告収益に頼っているはず。すなわち、我々の生活を便利で且つ豊かにしてくれるインターネットサービスを支えているのが「広告」なのです。つまり、我々の生活でいう、水道・ガスみたいなインフラ。そう考えると、社会的な意義ってハンパないなぁ~って思っちゃいませんか。

 

【2】おもしろいくらいに市場が伸びている。

RTB(Real-Time-Bidding)については後述するとして下記の表は「アドテクノロジー」関連の広告市場規模だと捉えていただきたい。

 

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RTB経由のディスプレイ広告市場規模を予測:2016年のRTB市場規模は2011年の16倍超へ――マイクロアド調べ - ITmedia マーケティング

 

2011年頃に生まれたこの市場は、翌年380%以上伸び、毎年のように伸び続けていった結果、2016年には2011年の16倍にも成長するというから驚きです。ちなみに日本の広告市場は5兆8913億円で、インターネット広告市場の規模は8680億円に上ります(出典:電通「2012年(平成24年)日本の広告費」)。アドテクノロジー関連市場は2012年時点ではまだ約256億円程度の規模ですが、今後この市場がインターネット広告市場を大きく伸ばしていくのは間違いないでしょう。規模が大きくなれば、業界関係者も迂闊にしていられないので、そのあたりの動きも見ものです。

【3】 とにかく飽きない!

進化のスピードがひじょーに速く、1日ニュースを見逃したもんなら「え、アノ会社そんなことし始めたの!?」なんてこともザラにあります。知的好奇心を満たすのが好きな方にはうってつけの業界。

でもって極めつけは分かりづらさ。「カオスマップ」なんてのがあるくらい、業界は混沌に満ちています。「こーいうことか?いや、こーか?」と、知恵の輪をほぐしていくような感覚で理解を少しずつ進められると、いつしか「あ、そーいうことかい!」 と、アハ体験を味わえます。この感覚を味わえる業界は他になかなかないのではないでしょうか(笑)

 

そんな感じで、まずはざっくりアドテクノロジー理解に必要な大前提をお話ししました。次回はもう少々詳しい話を。