アドテクノロジーの歴史(1)【1994年以降のWEB広告史】
昨今、東アジアの政治情勢がよろしくないですね。日本、中国、韓国、そしてアメリカ間での領土、慰安婦問題など。これらの関係性は「今」という視点から眺めるのはもちろん重要ですが、歴史を振り返らなくては見えてこないものがたくさんあります。
同様にインターネット広告の「今」も歴史を振り返ることで、より立体的に見えてくるモノってのがあるんじゃないかなーって思ってます。
100人中、78人がクリック!?
世界で最初に登場したインターネット広告として語り継がれているのは、米国の通信会社AT&Tが1994年にHot Wired.comに掲載したバナー広告(図-1)。
今日ではクリック率が「0.1%」あれば「良い方」ではあるようですが、当時はクリック率78%という目を疑うような数字が叩き出されていたようです。
(図-1)引用:http://www.gizmodo.jp/2013/02/post_11672.html
「ここでマウスクリックしたことある?」なんて言われたらインターネットの世界すら真新しかった人々にとってはクリックしたくなりますよね(笑)
こんな感じで始まった現代のインターネット広告ですが、どんな感じで日本に浸透していったか、これからざーっくりお話しします。
インターネットが出たころのWeb広告ってどんなん?
アメリカのインターネット広告より日本は3年遅れていると言われていますが、日本でインターネットが一般家庭に使われるようになったのは、Windows95の登場に代表される1995年頃。当時はパソコン普及元年とも言われていました。Windows95の登場で、webサイト検索やe-mailが本格的に家庭で使われるようになり、インターネット広告もこのタイミングで徐々に芽が出てきます。
95年にmsnサービス(マイクロソフト運営)が開始し、asahi.comも運営をスタート(こんなに早かったんですね!)。1996年にはYahoo!Japanが営業を開始し、電通の子会社サイバーコミュニケーションズ(cci)が設立されると同時に、同社がYahoo!の広告販売をスタートさせました。ちなみに博報堂系もデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(DAC)も同じ年に設立されており、cciと併せて今は「メディアレップ*1」と呼ばれるような業態になっています。両社設立のタイミングがあまりにも近かったので、個人的には「口裏合わせでもしてたのかな?」なんて思ってますが、インターネット広告の成長率・影響力を恐れた電博がWebサイト上の広告枠を真っ先に囲い込むことで同業界でも主導権を確保するためにメディアレップを立ち上げた、なんて語られ方もしているようです。広告を掲載するWebサイト(リアルで言うと「テレビ」や「雑誌」と同じ立ちくらい重要なもの)を握ってしまえば、確実ですからね。
90年代WEB広告業界主要プレーヤーの設立年をまとめてみた!
最後に、下記年表(図-2)に90年代のインターネット広告主要プレーヤーをまとめてみました。
(図-2※上段が日本国内の法人、下段が本社設立時のタイミングです)
こう見るとオプトがダントツではえ~!と思うんですが、この会社さんはもともとFAX事業をやっていたので、設立当初からインターネット広告業に携わっていたわけではないんですね。代表の鉢嶺さんが“「明日からFAXは一切売ってはならない!」”なんてことをおっしゃった際のエピソードが書かれてましたが、97年に一気にWebへと振り切ったようです。
それから、96年はメディアレップ&Yahoo!Japanの年になり、翌年97年には日本三大インターネット広告会社のひとつアイレップさんが設立されます。当時はまだ社名が「株式会社アスパイア」でした。98年にはサイバーエージェントが設立され、その後ITバブルとともに爆発的な成長を見せていきます。
ちなみに、今や利用しない日がないくらい使われているgoogle先生は98年に本社が設立され、日本法人は2001年に設立されています(個人的にはもっと早い印象でしたが)。
こうした主要プレーヤーに関して時系列順に頭に入れておくと、のちのち理解が楽になると思うので、まずは全体像をご説明しました。次回は広告の仕組みにも入り込みます。
*1:「広告代理店」とは異なる、広告枠の「卸売屋」的存在。どこかで詳細を記載します