セオ部(SEO部)

アドテク、キャリアは他の人に任せて、SEOトピックと持論を語ることにします(小学生、業界人向け)。

アドテクノロジーの歴史(3)【アドネットワーク時代(前半)】

 前回は純広告の話をしたので、今回は90年代後半のアドネットワークの話を。

90年代当初はまだまだWebサイトの数時代が少なかったってことから、「広告代理店~メディアレップ」のやり取りで全然まかなえちゃっていました。が、PCが普及し始め、法人企業もWebページが営業無くてはならないツールとなってきた頃、Webサイト数が急激に増えるようになります。さらにFCブログやアメーバブログのようなCSM(Contents Management System※ブログみたいなモノ)が世に出てくることにより、法人企業のみならず、一般PCユーザーもWebサイトを持つような時代にへと移り変わっていき、この流れがWebサイトの増加スピードに拍車をかけます。

「Webサイトが増える=広告枠も増える」って構図ですから、そろそろ今までのような手作業の純広告では 限界が見えてきます。

そこで登場したのが「アドネットワーク」です。

 

まとめ買いのアドネットワーク

 アドネットワークは目に見えるモノではなく、システムの話です。アドネットワークを作って運営してます、っていう専属の企業もありますが、媒体社に近いメディアレップが開発していたりします。日本にはPCだけで10数種類、スマホも合わせると20種類近くあるみたいですね。

で、アドネットワークは何かというと。

名前の通り、「広告(枠)をネットワーク化」したものです。

 

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(アドネットワーク概念図)

 

アドネットワークが日本で初めて登場したのは、1998年。cciとDACそれぞれが開発した「Adjust」や「DACチャンネル(今のimpAct)」が始まりでしょう。当時、広告会社からは「もっと管理しやすくしたいよね」というニーズがあり、広告主からは「もっとターゲットに沿った広告を打ちたい」ってニーズがあり、さらに媒体社からは「売れない広告枠をどうにかしたい」というニーズがありました。ココにWebサイトが増え続けている背景が相まって、「じゃあカテゴリーごとにWebサイトをまとめて、バルクで売っちゃうか!」 なんていう流れになっていったわけです。

例えば化粧品関係のサイト、自動車関係、金融関係、ニュース関連…etc.と様々なカテゴリーごとにWebサイトを分け、広告枠をパッケージングするのですが、このような集まり(広告枠のネットワーク)をアドネットワークと言います。

 

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(引用:http://opiedawn.blogspot.jp/2011/02/valentine-cards-goodie-bags.html

 

化粧品サイトなら「20代の女性で、OLが多い」とか、金融関係なら「男性で、高所得者層」などという、訪問ユーザーの属性が大体見えてくるわけですから、広告主の訴求ターゲットもそれら属性に合致しているのであれば、有象無象に集まる大規模サイトよりも、このようにパッケージングされた枠に広告を配信した方が圧倒的に効果があると判断されるわけです。

また、パッケージ化されているわけなので、同じアドネットワークに参加したサイトが販売される場合、枠は一律同じ値段です。従って、ネットワークで販売する広告枠は、純広告で「売りづらい」枠に限定されます。仮に大規模サイト(大手ニュースサイト等)で、誰もが確実に目にするようなトップ広告枠をアドネットワークで販売なんてことをしたら、もともと高値で売れた純広告で販売するよりも「安く」なってしまうことがありますからね。なので、Webサイト内にある複数の広告枠の中でも、あまり値段がつかない(≒人目にあまりつかない)ようなサイトをアドネットワークで販売する傾向があります。

加えて、季節ごとに媒体社(サイト運営者)のインベントリー(広告枠の在庫)に変化があります。12月等の年末年始は消費者の購買意欲が高まりますから広告出稿したいという企業が増えることで媒体社のインベントリーは減り、1枠あたりの単価が上がります。一方で9月などの閑散期には広告出稿が芳しくないので、広告枠が売れず、アドネットワークに入れ込む媒体社も多くなるのです。

 

こうして、アドネットワークの登場により、広告主にとっては、狙いたいターゲットと近い層に対して幅広くリーチでき、媒体社にとっては、普通にしてたら売れない広告枠をアドネットワークを使うことで収益の機会が得られるようになったってワケです。広告主も媒体社も(間にいるアドネットワーク業者も)Win-Win(-Win)になるという、そんな話でした。

※アドネットワークに関するもう少し深い話はまたいつか記載します(完成後、リンク貼ります)。

 

このエントリーを書いてて、アドネットワークの歴史を改めて色々調べてみたのですが、リスティング広告よりアドネットワークの方が歴史は深かったってのは個人的に一つの驚きです。もっと新しいものかと思ってました。ちなみにリスティング広告は2002年にGoogleがGoogle Adwordsの営業をスタートしたのが始まり(Google日本法人は2001年に設立※過去エントリー参照)らしいですね。

 

では。