セオ部(SEO部)

アドテク、キャリアは他の人に任せて、SEOトピックと持論を語ることにします(小学生、業界人向け)。

アドテクノロジーの主要プレーヤーと潮流

 

ここらへんで、「アドテクノロジー」の全体像をちょっとずつ噛み砕いていきます。

アドテクノロジー界 主要プレーヤー

主に4つのカテゴリーに分別できると思います。独断と偏見に基づいてピックアップ&大別してみました。後で詳しく説明するので、「4種類あるんだなぁ」ぐらいの認識で問題はないかと。点線より上は日系、下は外資系企業です。それぞれの機能は今までも書きましたが、要望があったり、気が向いたら、書きます。

 

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 出典:アド野テク蔵(2014年7月更新)

アドテクノロジーで何が変わった?

一言で言うと、広告主が広告の値段を付けられるようになりました。僕は「民主化」だと思っています。革命です。これまでのような、媒体社や広告会社主導で広告費が決められていた時代とは大きく異なってきました。

無形サービスの宿命ですが、価格なんてあってないようなものです。欲しがる人がいれば価格は吊り上がり、いなければ価格は下がります。広告枠の値段もそのような時代のうねりの中を生きてきました。それを牛耳る広告会社とメディア会社。いうなれば、彼らの独裁体制だったかもしれません。 もちろん、優良なプレミアムメディアの広告枠はいまだに高価格を維持される可能性はありますが、売れなくなった圧倒的多数のメディアに関しては、アドネットワークやアドエクスチェンジの中でオーディエンスデータとともに販売されます。

でもこれからは、枠の値段ではなく、枠の裏側にいる、メディアに訪問するユーザー一人ひとりに値段がつく時代です。広告会社ではなく、DSPSSPを介して行われるようになり広告の価格が設定されます。市場原理です。

自由化から独占の流れ

自由主義に基づく資本主義体制全体を見渡しても既得権益を守ろうと各プレーヤーが動きますから、Web広告業界でも市場原理で価格が決められるようになれば、利益を得よう、既得権益を守ろう、あわよくば独り占めしよう、という動きが出てくるのは当然のことでしょう。こうした流れの中、最も有利に動いているのはSupplier、メディアサイドです。海外は、大手メディアがエージェンシー機能を取り込むといった動きを始めています。広告会社を噛ませず、自社でアドテクノロジー、トレーディングデスクを保有することで、手数料のピンハネを防ぐのです。ただ、いきなりトレーディングデスクを自社で持つことは難しいので、エージェンシーから出向してもらい、デスクトレーダーを育成するようですね。    

進むプライベート化(=会員制)

プライベートエクスチェンジと呼ばれるようなものも出てきました。メディア側が指定した広告主しかエクスチェンジに入れないようにした仕組みのこと。所謂、会員制のバーみたいなもんですね。メディア側のブランディングを保ちながら(イケてない広告主を排除)、一定額以上の広告価格を保つためにできましたが、これもメディア側がいい想いをしようとするための取り組みです。  

 

データ、動画で価格押上げ。

現在のディスプレイ広告市場の成長を後押ししているのはオーディエンスデータと言われるような「データ」です。このデータを基に見込み客へピンポイントで広告配信ができることで単なる純広告よりも高い価値を付けることができ、広告の値段が引き上げられているのです。最近でもリクルートが後発ながらリクルートポイントを始めたましたね。Yahoo!等の大規模トラフィックを抱えるメディアや多数の会員を囲う(ツタヤや旅行会社等)企業がDMPというものを利用し始め、オンライン・オフラインの行動履歴や購買履歴を結び付けようという取り組みが進んでいます。

例えば。Aさんがリアル店舗で赤ちゃんの子供服を買い、ポイントカードを提示したとします。そのポイントカードの購買履歴がAさんのオンラインのデータに結び付けられ、Aさんがオンライン上を回遊していると、一眼レフカメラの広告(子供の写真を撮るのでは?というニーズ仮説)が出てきたり、幼児向け教育教材の広告(子供の教育も考えるのでは?というニーズ仮説)が出てくることがあります。プライバシーの問題と隣り合わせですが、個人的には、その人に合った「適切な」広告が出てくるってことならドンドン促進させればいいのにと思ってしまいますが(笑)  

 

そして現在の成長市場であるRTB取引市場が一般化するころには、やがてディスプレイ広告市場が鈍化します。PCのディスプレイ広告市場も世界的に見ると、これまでより成長速度は衰えています。テレビ広告も横ばいです。まぁテレビ広告に関しては時間枠が固定されているのだから、当たり前の流れでしょう。 このような背景から更なる収益化を、ということでメディアサイドは高付加価値広告商品の開発強化を進めます。そのひとつが、動画広告でしょう。ディスプレイ広告の枠に動画広告をぶち込んだとしても効果が見えないゆえリスクが大きいので、まずは動画コンテンツ(YouTube等)の上に動画広告を載せることが一般化してくるはずです。大手ニュースサイト、動画配信会社、あるいはテレビ局がコンテンツをネットへ流し始めることで、この市場は拡大するでしょう。  

 

広告主の反撃。第三者配信がもっともっと前に出てくるんじゃないかな

しかし、広告主側も負けてられません。溢れんばかりのアドネットワークや、効果が出るか怪しいプレミアムメディア、そしてまだまだ成功サンプルの少ない動画広告。本当に効果が出る広告施策を知るためには、効率よく広告効果の計測・配信を行わなくてはいけません。そのために、もっともっと第三者配信アドサーバー(第三者の目、手)を利用する広告主が徐々に表れるのではないかと考えています。メディア、広告会社、アドテクノロジー会社、複数のプレーヤーが美味しい話を添えて様々な選択肢を用意してくる中、どれが本当に効果があるのか、広告主が第三者を踏まえて考えてみる、そんなときに必要とされるのが第三者配信アドサーバーなんですよね。  

 

結局、アドテクってどっちの味方なの?

アドテクノロジーは広告価格設定の自由化、広告効果の透明化、配信の効率化等様々な夢を広告業界に持ち込んでくれました。でも結局、広告主・メディア側、どっちの味方なの?ってのはこれからアドテク業界に投げかけられる大きな命題だと思います。

それと、扱うのはどうしても数字ばかりになりがち。。古くからある広告会社はもしかすると、今よりも数字にはうるさくなく、もうちょい感覚的な部分の方が大きかったのではないかと思います。テクノロジーにはテクノロジーらしいいい部分もありますが、人だからこそできる「クリエイティブ」にももっとこだわれるような、もっともっとワクワクさせてくれるような話題があってもいいはずです。アドテクはその時々で長いものに巻かれるような、数字とワンセットの無機質なポジションからちょっとずつ脱却してほしいなんて思ってます。